天使と悪魔 小説感想とねたばれ2009/05/01 23:42


人物===========
ラングドン
図象研究家?主役。アメリカ人。いろいろさくさく行動派。どこのスーパーマンですか。

ヴットリア・ヴェトラ
海のどうぶつ研究家。東洋思想に造詣の深そうな、ダイビングとヨガのたつじん。
映画は美人のおねいさんがやる。黒髪でちょっとエキゾチック。似合ってる感じする。

レオナルド・ヴェトラ
ヴィットリアの養父でカトリック司祭だけどセルンの研究者。
反物質を開発、その是非をバチカンに問い合わせてみたら殺された。エエエエ

カルロ・ヴェントレスカ 
カメルレンゴは教皇の秘書長という意味。
前法王の息子。修道女との間に人工受精で生まれた。
生まれも育ちも熱心なキリスト教者。
反物質の存在を危ぶみ、ヤヌスを名乗り、ハサシンを雇い、反物質の開発者と
コンクラーベに集まった法王候補(プレフェリーティ)の枢機卿殺害を依頼。
前法王が実父であったことを知らず、「子供がいた」ということに反発して法王を薬殺。
ちょっとまて、映画でユアン・マクレガーがやんの?あんた顔がカルロじゃねえぞ!!
と、この小説をすすめてくれた会社の若い女子と「なんかちがーう」を連発。単に顔の話だ、あんまこの人の顔イタリアっぽくないから。セリエA10年余みてたせいでイタリア人の設定だといろんな顔が思い浮かぶ。ビエリだったらこええ。ジラ師匠やんないですかこれ。

ハサシン
どっかの中近東の人。ちょうできる暗殺者。イリュージョン・・いやヴィットリア縄抜けの術により不意をつかれて死亡。
アッラーアクバル!かどうかはしらん。こんな人いるんかいな・・・高くつきそうですな。ヒゲ希望。中近東といえばヒゲの帝国だろ!<今はそうでもないね

モルターティ
枢機卿。ヴェントレスカ出生の秘密を知る人。

マクシミリアン・コーラー
セルン所長。幼少期に重病にかかり、その時使用した薬物の後遺症で四肢が不自由。
両親が熱心なキリスト教者である。四肢が不自由になったのは祈りが足りなかったからである、と言い聞かされてきたせいか宗教に対してルサンチマン山盛り。
彼をイルミナティのボスに仕立てたかったカルロだが、コーラーの残したビデオによって事実が明らかになる。ロシェに殺害される(確か)。

オリヴェッティ
スイス衛兵隊長。忠実な人。スイス傭兵だけど、おもろいね。名前がイタリアだったりフランスぽかったり、ちゃんとスイスっぽい。でもキャストは北欧勢みたいっすね。

ロシェ
スイス衛兵大尉。ヴェントレスカのグル。

シャルトラン
スイス衛兵少尉。いろいろ素朴でまとも。ロシェ、ヴェントレスカの企みに気がつく。彼の機転でラングドン、ヴィットリアが助かるシーンも。

感想いろいろ==========
カソリックの学校にいたので、この本に出てくる教皇たちのしゃべりの感じがなつかしい。あたたかでやさしい考え。モルターティすごいイメージあるよ。何もかも神はお見通しで何もかも神の思し召しです。何も思い煩うことはありません。あなたの心に神はいつも語りかけておられます。心を穏やかにして、耳を傾けてごらんなさい。天国の門に入るためにあなたはあなたの為すべきことを行いなさい。悩みや不安は教会に来て神に打ち明けなさい。罪を犯したら教会で神に懺悔なさい。惜しみなく分け与えなさい、イエスがなさったように。必要なものはすべて神がお与えくださいます。すべての人の罪を許しなさい、イエスがなさったように。イエスが復活して父のもとに還って行かれたように、主の愛はこの世界に空気のように満ちていて枯れることがありません。おお、書き出すと眩しいわ。このびみょーに翻訳っぽいとこがちょっと回りくどくてまたいいんだろうな。

私の通っていたその学校は今でいう被差別部落にあった。処刑場で、古くはキリスト教の殉教もあった。戦争被害がとても大きかったところなのだが、非差別部落だったので他所からキリスト教の救援部隊が来るまで放置され被害が広がった。設立を決めた教徒たちは「ここにこそ建てなくてはならない」と思ったのだという。

中世のキリスト教なんかは献金とかもあってけっこーめちゃめちゃで、まー今も戦争やらかしててめちゃめちゃだけど、少なくとも日本のキリスト教学校なんかでは、究極に良心を養う道徳教育といったかんじでそう悪くないものだと思う。自分のいってたとこは年に1度内省だけする日というのがあった。別に何って聖書の抜き書きがいっぱいのってる冊子読んだりミサくらいしかやらないんだけど、自分の心のありようを自分なりに静かに考えさせる日というか。思い出すわ。そんなんやっても不登校児とかやっぱいたけどな。ひどいいじめもあったし。

で、この天使と悪魔だけど、謎解きに原罪とかまぜてあって、面白い。英語がピュアな言語とされていた時代の話など設定に出し惜しみがないので人物像書いただけで分かってしまうくらい。でもタイトルはようわからんな。天使の導き有りだっけ。天使はキリスト教的にいうと奇跡を起こす何かでもなければ奇跡そのものでもない。奇跡をなす根幹は精霊じゃね、三位一体の精霊。天使は父なる主のみ使いでんな。

何げにローマは行ったことある。とにかく石と遺跡と教会がいっぱいの街で、もう工事中なのか遺跡なのかわからん。乾いた土地にかさついた雑草が茂り、小さな花をつけている。あちこちにエジプトから持ち込まれたオベリスクが立ち並び、祈りと血が街に染み付いていた。堂々としたテルミニ駅、殺伐としたコロッセオ、乾いた土地を潤すたくさんの泉と広場、システィーナ礼拝堂では一日中ミサが行われ、世界中から集まった巡礼の人々の祈りの声が響く。市街地は割と赤っぽい壁が多く、並木の新芽まで赤いASローマのユニフォームそのまんま。丘の上にはファナティックなオリンピコ。その石の建物がですな、なんか観光できるけど観光地って感じじゃなくて全部ガシっと抱きしめたいような愛おしい感じなんですよ。政治、戦争、祈りの街だった。すごく生きた歴史を感じた。そいでもって何くってもうまーだったなー。コーヒーうまー。ピザうまー。アイスうまー。パスタもパニーニもうまー。

謎解きに関しては、行ったことがあるとはいえローマをそんなには知らないので分かんなくて楽しい。全部すぐにちゃんとわかるようになってる。土、水、空気、火は東西の占星術にも採用されている考えで、星占い信じるんだったらこれもありですな。土は固定し安定させ、水は吸収し形を変えて感情に影響を与え、空気は言葉やコミュニケーション、火は何かを変化させ生み出す力。それぞれの司教がこの役割を与えられていたかどうかは良く読んだら分かるのかな。ほら、カート・コバーンとか水のグランドトライン持ってるんだよ。グノーシスじゃなくて何だっけな、魔術のときに東西南北を支配する天使に挨拶するでしょ。えっとね、手前にミカエル、とか対応する天使と方角が決まってるんだよね。で、東に向かってやるんだったか。魔女じゃないからよう知らんわ。ダヴィンチのときのカップはハートで女。これもタロットかじってる人なら誰でも分かったと思うが。それにしても偶然だったとしては出来過ぎの調査っぷりはすごい。ダヴィンチは見るからにあやしげだけど、ルネッサンスの申し子ラファエロもそうなんか。

イルミナティについては全然知らなかった。バイエルンの石工・・・バイエルン、ドイツの中でも浮いたエリアだっていうからなw ヴェントレスカがなんでこうもイルミナティの事に詳しいのかは謎だが、熱心に調べたのかねー。イスラムの暗殺者用意したりとかさー、やるかなこういうこと(爆)。舞台がアルハンブラだったら逆襲されたりしてー。はんこほしいww

話を逆からいうと、世の混乱を憂いた若いヴェントレスカがキリスト教に対する求心力を再び強めようと実父であった法王を暗殺し、コンクラーベで注目を集めたところで古代の抵抗勢力・イルミナティによる宗教テロを模したまーなんつーか、、、クーデター?を企てる。みたいな話。クーデターはどうかな、しかしうまくいったらヴェントレスカが法王になっちゃったでしょ。

ヴェントレスカの長い演説がこの小説のキモだと思うけど、わかるよなー。科学を使いこなす程人が進化していない。何の注意もなく子供に火を与える親がいるだろうか。なぜ直接語り合わないのだろうか。どれだけ科学が進んでも人の悩みはますます生み出される。分からないことは神様がやったことにしておいた方が、幸せに暮らせるのだ。それがオカルトだ(笑)。教会はいつもそうあったのに、なぜ分からないのか。
彼はロマンチストに見えるけどすごく信仰の原理を理解していたと思う。怖いもんがなきゃ宗教はすたれる。そしてその恐怖とか畏れとかを細かく分解していったのが科学であり現代的な精神分析だろう。でも人は恐怖を無くしても悩むことをやめない。ユングのいうところの共同幻想っていうか深層心理の海の港は大きな宗教だと思う。
でもだからといってよその宗教を使うのはズルいだろー。ハサシンがどっかで捕まって全部イスラムのせいにされちゃったらどーする気だったんだろね。

宗教に見捨てられ、科学で命が繋がっているコーラーと、科学によって生まれてきた無原罪のヴェントレスカ。今神の子をつくろーとしたらヴェントレスカが生まれたのと同じようにやればいい。それでは科学のみが無原罪の手段となりえるのだろうか?東洋風に言うと子供が欲しいとか欲張るだけで叩かれそうだけどな。神は科学で生まれた子供にどんな計画を持っていたのだろう。彼は自らの胸にイルミナティのハンコをつき、すべてを為し終えて昇天する。「カルロ、あなたはバチカンを危機におとしいれたのです」誰も彼を十字架にさえかけない。キリストのように肉体を残さずにはすまなかったけど、その夜はペテロの山に恵みの雨が降り注いだのでそれを知っているのはモラッティじゃねえや、モルターティだけだ。彼は自らの死によって科学に溺れる者の罪をあがないたかっただろうが、彼が実際にあがなえるのは宗教に溺れる者の罪なのだろう。なんか勝手な解釈だけど。

宗教を生きようとすると、実際のとこ体が元気でないと不幸だ。だって生まれながらに神のおめぐみに関しては借金してるようなもんだもん。借金してる先に死ぬまで囚われてしまう。運命を受け入れて病で死ねばいいってゆーんだったら肉体なんか持ってる意味が最初からない。何のために生まれてきたんだ?肉欲の果てですか?死なない病気もいっぱいある。より惨めな者こそより救われるなんて書いてあるけどあの家は祟られてるとかあの人は行いが悪いとかそーいう事言われるんだ。非差別部落みたいなもんだ。私が差し出した手はいつも恐怖を持って振り払われる。そうしたらもう「悪魔の使い」ぐらいしかその教義の中には役が残ってなくて、キリスト教だと「寛容」を持って取り込まれてしまう。まあそれを望まないとしたらあとは戦争みたいなもんだろう。コーラーは非常にまともだ思う。

とまあキリスト教者でもないのにつっこんでたらきりがないが、映画楽しみ。ローマ上空の爆発シーンとヘリからトム・ハンクスがテヴェレ川に飛び込むとこすごいの期待してる。ジブリの映画みたいにいろいろアクションしながらドボーーーーンとおっこってくださいw

コメント

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